【コラム】「わかる」から「伝えられる」へのステップ

答えが合っていても、不安になる瞬間

勉強を見ていると、「問題は解けているのに、どこか自信がなさそう」という場面によく出会います。
計算も合っているし、答えも正しい。それなのに、「どうしてそう考えたの?」と聞かれた瞬間、急に言葉が止まってしまう。そんな様子を見せる子は少なくありません。

この状態に、実は一番戸惑っているのは本人です。
「わかっているはずなのに、うまく説明できない」
「合っているのに、自信を持って言えない」
そうした感覚が積み重なると、次第に発言すること自体をためらうようになってしまいます。

特に海外で生活している子どもたちは、日本語で論理的に説明する経験が限られがちです。
学校では英語、家庭では日本語という環境の中で、日本語を使って理由や根拠を整理し、相手に伝える場面は、意識しないとどうしても少なくなります。
そのため、「理解していること」と「説明できること」の間に、差が生まれやすいのが現実です。

正解よりも、考えた道筋を大切にしたい

中学・高校に進むにつれて、求められる力は変わっていきます。
答えそのものだけでなく、「どう考えたか」「なぜそうなったのか」が重視されるようになります。
数学では途中式、国語では記述問題、理科や社会でも理由を説明する問題が当たり前になっていきます。

だからこそレッスンでは、「合っているから次へ」という進め方はできるだけ避けています。
それよりも、「どこを根拠にしたのか」「なぜその式を選んだのか」といった、考えた道筋を言葉にする時間を大切にしています。
たとえ説明が拙くても、自分なりに考えを表現すること自体が、大切な学習の一部だと考えています。

言葉にする力は、あとから伸ばせる

最初から、うまく話せる必要はありません。
言葉に詰まったり、「なんとなく」という表現で終わったりしながら、少しずつ考えの整理の仕方を覚えていきます。
その積み重ねの中で、「どう伝えればいいか」が見えてくるようになります。

考えを言葉にする力は、生まれつきの才能ではありません。
経験を重ねることで、あとから伸ばしていける力です。
「わかる」から「伝えられる」へ。
その小さなステップを積み重ねることが、学習への自信につながっていくと感じています。

(沢村)