【コラム】海外に住む子どもたちと国語

今回は「海外に住む子どもたちが国語を学ぶときに、どんなところでつまずきやすいのか?」、そして「海外で育ったからこその強みは何か?」についてお話ししたいと思います。

つまずきやすいポイント

まず大きな課題は語彙の不足です。日本に住んでいれば自然に触れる「町内会」「回覧板」「運動会」といった生活に根ざした言葉も、海外ではなかなか出会いません。そのため文章問題を解いていても「聞いたことはあるけれど、どんなものかイメージできない」ということがよくあります。

次に表現の幅の狭さです。会話では問題なくやりとりできても、作文になると「楽しかった」「すごかった」など同じ表現ばかりが並んでしまうことがあります。日本語らしい比喩や言い換えの力を伸ばすには、意識的な学習が必要です。

さらに作文の型の理解不足も課題です。「起承転結」や「序論・本論・結論」といった書き方の型は、日本語を母語として育った子でも難しいものですが、海外在住の子どもは触れる機会が少ないため「思いついたことを順に書いただけ」で終わってしまうことがあります。

海外経験が強みになるところ

一方で、海外に住んでいるからこそ身につく強みもたくさんあります。

まずは広い視野です。多文化の中で育っているので、「人によって考え方が違う」という感覚を自然に理解しています。小論文や作文では「自分の経験を例に挙げる」ことが大切になりますが、海外生活のエピソードは説得力のある材料になります。

次に柔軟な発想です。複数の言語や文化に触れていることで、枠にとらわれずに考える力が育っています。国語の意見文や読解問題で「別の角度から考える」ことができるのは大きな強みです。

また、自己表現の積極性も魅力です。海外の学校では自分の意見をはっきり伝えることが重視されるため、日本語でも「自分はこう思う」と臆せず言える子が多いのです。これは日本の受験や面接でも生きる力になります。

まとめ

海外に住む子どもたちは、日本語に触れる機会が少ない分、語彙や表現力、作文の型といった点でつまずきやすいです。けれどもその一方で、海外経験ならではの広い視野や柔軟な発想、積極的な自己表現は国語学習を豊かにしてくれる大きな強みでもあります。

だからこそ、「弱点を補いながら、強みをどう活かすか」が国語学習のポイントだと感じています。苦手を一緒に乗り越えつつ、その子にしかない経験や視点を文章に生かしていけるよう、日々のレッスンで工夫していきたいと思います。

(沢村)