【コラム】海外に住む子どもたちの“情報ギャップ”はどう埋められる?

今回は、レッスンをしていてとくに感じる「海外在住の子どもたちが抱えやすい情報ギャップ」についてお話ししたいと思います。

私が指導している子どもたちは、香港、台湾、インド、カリフォルニア、ハワイ、そして最近ではメキシコと、本当にさまざまな国からつないでくれています。環境が違うからこそ、持っている経験もおもしろい。でもその一方で、「日本で暮らしていたら自然と入ってくるはずの情報」がぽっかり抜けてしまっている場面もよくあります。

たとえば社会科の話題。
「奈良時代ってどこで何があったの?」
「神奈川県って日本のどのへん?」
「お正月の文化は知っているけれど、その背景は?」
こんな質問が出てくることは珍しくありません。住んでいる国の文化には詳しくなっていくけれど、日本の地名・行事・歴史・ニュースは“意識して触れないと入ってこない情報”になってしまうのです。

背景知識の差が、学力差につながることも

国語や社会はもちろんですが、実は算数や理科の文章題にも背景知識は深く関わっています。
「川の上流」「みそ汁の具」「奈良の大仏」
これらは日本で生活していれば映像イメージが自然と積み重なりますが、海外で育つ子には必ずしも当たり前ではありません。

背景にあるイメージが湧かないと文章理解に時間がかかり、結果として正答率に影響することもあります。語彙力の差と同じように、“情報の差”は思った以上に学習全体を左右します。

家庭でできる小さな工夫

とはいえ、毎日ニュース番組を見せなければいけない、というわけではありません。
ポイントは「日本の話題に少し触れる時間を作ること」です。

たとえば……
・週に一度だけ“日本のニュースを一緒に話す日”をつくる
・家族の誰かが最近聞いた日本の出来事を1つ共有する
・地図アプリを一緒に見て「今○○はここらへんだよ」と位置を確認する
・帰省のときに行く場所を、事前に地図や写真で見ておく
こんな小さな積み重ねでも、子どもたちの理解は驚くほど変わります。

特に「地図と名前を一致させる力」はとても大切です。場所がわかると、歴史もニュースも文化も“点”ではなく“線”でつながっていきます。
たとえば「神奈川県」を地図で見て、東京・千葉・静岡との位置関係がつかめるだけで、旅行の話題やニュースのイメージはずっと広がります。

レッスンで意識していること

私のレッスンでも、文章題やテーマに関わる地名・行事・文化はできるだけ説明したり、画像で確認したり、子どもたちが想像しやすいよう工夫しています。

海外で育つ子どもたちは、見ている世界が広いぶん、日本の情報が“空白”になりやすい。
でも、それはマイナスではなく、むしろ“世界を2つ知る強み”にもなります。

大切なのは、その空白を無理なく、自然に埋めていくこと。
家庭とレッスンの二つの場で、少しずつ日本の文化や情報に触れられる環境があれば、学びの土台はぐっと広がります。

(沢村)