海外子女が苦手とする「作文力」を家庭で無理なく育てる方法

英語(英検対策)・国語・社会・理科を教えている左雲(さくも)です。小学生低学年から高校生まで、年代を問わず幅広く担当しています。

わたしのブログでは、日々の授業での経験をもとに、勉強の取り組み方や成功事例、時には生徒と話し合った時事問題などについて綴っています。

今回は海外にいるお子さんが苦手意識を持ちやすい作文力について書いていきたいと思います。

AI時代だからこそ求められる「作文力」

AI技術の発展により、簡単な文章であればだれでも瞬時に生成できる時代になりました。

しかし、だからこそ教育現場や入試において、自らの頭で考え、独自の言葉で表現する「作文力」の価値はむしろ高まっています。

単なる知識の暗記ではなく、「なぜそう考えたのか」を論理的に説明する力は、これからの社会でより一層求められるでしょう。

一方で、多くの保護者様から「子どもが文章を書くのを嫌がる」「何を書けばいいのか分からずに作文が進まない」という切実な悩みを伺います。文章を書く力は、どのようにすれば家庭で無理なく育むことができるのか、一つの提案として今回は書いていきたいと思います。

書けない原因は「技術」ではなく「思考のための素材」の不足

文部科学省が実施している「全国学力・学習状況調査」の国語科において、「自分の考えを根拠とともに明確に表現すること」に課題があることが毎年のように指摘されています。

子どもたちが記述を苦手とする背景には、原稿用紙の使い方や漢字の知識といった「書き方の技術」以前に、そもそも「何をどう書けばいいのか」という思考の素材が整理されていないという問題があります。

学校では、アイデアの思いつき方や素材の集め方、素材の扱い方を文章を書く際にあまり時間をとって学ぶことはありません。

どういった順番で考えればいいのかなどは勉強するものの、大人数の児童に対してプリントを通じた簡単なフィードバックや授業中でのアドバイスではどうしても不十分になってしまいます。

オンライン塾の現場で多くの子どもたちを指導してきた経験から言えるのは、最初から完璧な文章を書かせようとすると、子どもはどうしても拒絶反応を示してしまいます。

文章を書くという行為は、「経験の言語化」「思考の整理」「記述」という複雑なステップを経なければなりません。

学校では、なかなか考えるためのまとまった時間が取れないからこそ、文章を書いたり読んだりする練習は、家庭学習に依るところが大きくなります。

でもどうやって家庭で作文力を鍛えればいいのでしょうか。

家庭で記述力を育てる第一歩は、先ほどの「経験の言語化」「思考の整理」「記述」というステップを細分化し、子どもが「これなら書けそうだ」と思える環境を整えることにあります。

家庭で実践できる「対話」をベースにしたステップ

子どもの「書きたい気持ち」を引き出すために、私たちがオンラインレッスンでも実践しているのが「書く前の対話」です。

いきなり鉛筆を持たせて書かせてしまうと、相当文章を書き慣れていない限り、手が止まってしまいます。

まずは楽しかった出来事や読んだ本について、親子で楽しくおしゃべりをします。

「一番面白かったところはどこ?」「もし自分だったらどうする?」といった具体的な問いかけを投げかけることで、子どもの頭の中の記憶と言葉が結びついていきます。

ここで重要なのは、一問一答ではなく、子どもが自由に答えられるようなオープンクエスチョンで問いかけることです。この際、子どもの考えがまとまっていなくても構いません。また、なかなか口に出すことが難しい子どもいます。その場合は、とにかく待つことも重要です。

記述の際は、「楽しかった」という抽象的な感情に、「どうしてそう思ったのかな?」と理由を一つ添える習慣をつけるだけで、文章の論理的深みは一気に増します。

また、最初は誤字脱字を細かく指摘せず、自分の言葉で最後まで書けたプロセスを存分に褒め、書くことへの自己効力感を高めてあげることが何よりも大切です。

このように、対話をもとにステップを踏んでいくことで、文章を少しずつ構築することを体感し、子どもは作文のための考えの型を形成していくのです。

まとめ

さて、ここまで一般的な記述力の育て方についてお話ししてきましたが、この「書く力」の育成において、とりわけ大きな壁にぶつかりやすいのが、海外という日本とは異なる環境で日々を過ごされているお子様たちです。

現地校やインターナショナルスクールでの生活は、日本語で文章を論理的に構成したり、自身の複雑な感情を日本語の豊かな語彙で表現したりする機会をどうしても少なくなってしまいます。

日本の学校への編入や帰国子女受験を控えているご家庭にとっては、「周りの進度に遅れていないか」という焦りや不安も大きいことでしょう。

しかし、海外で多様な価値観に触れ、日々新しい経験を積み重ねているお子様たちは、他の誰にも真似できない「素晴らしい作文の素材」を心の中にたくさん蓄えています。

まずは日々の家庭内の会話の中で、お子様が現地で感じた驚きや発見を、日本語の言葉として紡ぎ出すお手伝いをしてあげてください。家庭が「安心して自分の言葉を表現できる場所」になれば、子どもたちの記述力は驚くほどの勢いで伸びていきます。

優心オンラインでは、海外在住者専門の個別指導塾として、海外在住経験の豊富な講師陣が、生徒一人ひとりの理解度や興味、学習環境に合わせてきめ細やかなサポートを行なっています。

ただ勉強ができるようになることを目指すのではなく、ひとりひとりのお子さんが楽しんで勉強に取り組み、生きる力を身につけることに重きを置いています。

海外にいながら、日本の学校の学習に合わせて進めることも可能です。

お子さんの学習について何かご不安な点があれば、ぜひ一度当塾にご相談ください。