海外でも育てられる!子どもの読解力を伸ばす家庭での工夫と考え方

海外で生活する中で、子どもの日本語力をどう育てるか

——これは多くの保護者の方が抱える共通の悩みです。なかでも「読解力」は、国語の成績だけでなく、すべての学びの土台になる力です。実際、私は海外在住の小中学生に国語を教える中で、「読めているようで、実は理解できていない」ケースに多く出会ってきました。

読解力とは、単に文字を音読できる力ではありません。

文章の内容を正しく理解し、文脈や登場人物の気持ちを読み取り、自分の考えとつなげる力です。この力が弱いと、説明文では要点をつかめず、物語文では感情の流れがつかめません。さらに、国語以外の教科——たとえば数学の文章題や理科の実験レポートなどでも、読解力の差が明らかに表れます。

子どもによって国語(日本語)の習熟レベルは異なると思います。保護者様の中で「いつでも日本帰国をしてもいいように、子どもの該当学年相当のレベルにしたい」と考えている方もいらっしゃると思います。

しかし、そう簡単に身に着けられるわけではありません。

生活環境によっては第一言語が英語になっているから、日本語を使った会話はできても国語の教科書レベルは該当学年より下な場合が多いです。

では、どうすれば海外でもこの「読解力」を育てていけるのでしょうか。私が家庭教師としておすすめしているのは、次の3つの習慣です。

一つ目:「音読と問いかけ」

教科書や読み物を音読させたあと、「どうしてこの人はこう言ったのかな?」「この場面の気持ちはどう変わったと思う?」などと問いかけてみてください。読むことと考えることを結びつけるだけで、理解が深まります。

二つ目:「読書と対話の習慣」

本を読んだあとに、「どんなところが面白かった?」「似たようなこと、自分にもあった?」と感想を聞くだけで、子どもは自分の言葉で内容を整理しようとします。これはアウトプットの第一歩です。

三つ目:「日常会話での語彙の拡張」

たとえば、「今日はどんなことがあった?」という問いかけの中で、子どもが使った言葉に対して「それってどういう意味?他の言い方もあるかな?」と掘り下げていくと、語彙力と理解力が一緒に育ちます。

海外にいるからといって、日本語環境をあきらめる必要はありません。むしろ限られた環境の中で、親子でじっくり言葉と向き合う時間がとれるのは、大きな強みです。

読解力は、「ただ本を読むこと」ではなく、「読むことで考える力を育てること」です。少しずつでも、日々の生活の中に言葉との対話を取り入れていくことで、確実に力は育っていきます。日本語の力は、子どもにとって大きな財産になります。家庭でできる小さな工夫を、ぜひ楽しみながら続けてみてください

(沢村)