【社会】覚えた知識は、なぜ忘れてしまうのか
英語(英検対策)・国語・社会・理科を教えている左雲(さくも)です。小学生低学年から高校生まで、年代を問わず幅広く担当しています。 わたしのブログでは、日々の授業での経験をもとに、勉強の取り組み方や成功事例、時には生徒と話し合った時事問題などについて綴っています。
授業で「ライン川はどこを流れている?」と聞くと、生徒から「ドイツ」と即答が返ってきました。正解です。
ただ、地図帳を開いて「じゃあ指で押さえてみて」と言うと、手が止まります。
名前と国名はセットで覚えている。でも、その川が地図のどのあたりを、どの向きに流れているのかは頭の中にない。
この状態は珍しくありません。そして、こういう覚え方をした地名は、数ヶ月経つと驚くほどきれいに忘れてしまいます。
社会で覚える時はいろんなものをからめて覚える
テスト前に詰め込んだ地名が一週間後に消えているのは、記憶力ではなく覚え方の問題です。
「ライン川=ドイツ」は二つの言葉をひもで結んだだけの知識で、ひもが切れれば終わりです。
一方、地図で位置を確かめた生徒は違います。スイスのアルプスから流れ出て、ドイツを北へ縦断し、オランダで北海に注ぐ。
この流れを一度指でなぞると、「なぜドイツの工業地帯が川沿いに並ぶのか」といった別の知識が、同じ川にぶら下がっていきます。
ひもが一本ではなく、網になる。網は、一本切れても残ります。
教科書が求めているのも「どこに」から始まる学び
文部科学省の『中学校学習指導要領解説 社会編』は、地理的な見方の基本を「どこに,どのようなものが,どのように広がっているのか,諸事象を位置や空間的な広がりとのかかわりでとらえ」ることだと説明しています。
出発点は暗記ではなく位置の把握だと、はっきり書かれています。
小学校でも同じ方向性の見直しがありました。それまで小学4年生から配られていた「教科用図書 地図」、いわゆる地図帳を、3年生から配布するようにしたと示されています。地図に触れ始める時期を一年早めたということです。
やることは、10秒の確認だけ
では社会科の学習を進めるときに家庭学習では何ができるか。
特別な教材は要りません。教科書やニュースで知らない地名が出てきたら、その場で地図帳やマップアプリを開いて指で押さえる。それだけです。
さらに大事なのは、あとでまとめて調べようとしないこと。
「後で」はたいてい来ません。出てきた瞬間に10秒で探す。探す途中で周りの国や海や山脈が視界に入るので、その10秒には地名一つ分より多くの情報が入っています。
もう一つ記憶の定着のためにお勧めしているのが、地図帳への書き込みです。出てきた地名に印をつけていけば、学期末には自分がどこを旅してきたかが一冊に残ります。勉強した記録が残っているとうれしくなりませんか?
おわりに
地名を覚えるのが苦手だという子は、記憶力が弱いのではなく、地図を開く習慣がないだけ、ということが多いものです。習慣は今日から変えられます。
海外で暮らしているご家庭なら、この習慣はさらに大きな意味を持ちます。日本の地名と、いま住んでいる国の地名が、一枚の地図の上でつながって見える瞬間が必ず来るからです。教科書の話と自分の毎日が同じ平面にあると気づいたとき、社会科は急に面白い科目に変わります。
優心オンラインでは、海外在住者専門の個別指導塾として、指導経験の豊富な講師陣が、生徒一人ひとりの理解度や興味、学習環境に合わせてきめ細やかなサポートを行なっています。
ただ勉強ができるようになることを目指すのではなく、ひとりひとりのお子さんが楽しんで勉強に取り組み、生きる力を身につけることに重きを置いています。
海外にいながら、日本の学校の学習に合わせて進めることも可能です。 お子さんの学習について何かご不安な点があれば、ぜひ一度当塾にご相談ください。
参考文献
文部科学省『中学校学習指導要領(平成29年告示)解説 社会編』(平成29年7月) https://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/micro_detail/__icsFiles/afieldfile/2019/03/18/1387018_003.pdf