【小5国語】音読から始まる、ことばの成長
今回は、国語のレッスンで音読を取り入れた際に感じた、生徒さんの成長についてご紹介します。
Rさんは日本でいうと小学5年生の年齢ですが、今は小2のレベルの教材を使って国語を学習しています。
ワークブックでは、漢字や語句の意味を問う語彙問題と、教科書の文章をもとにした読解問題に取り組んでいます。
「読む力」はすこしずつ育てていく
私の授業では、読解問題に入る前にまず、教科書の本文を私が音読し、それを聞いてもらう時間を設けています。
「音読を聞くだけで意味があるの?」と思われる方もいるかもしれませんが、ここで大切にしているのは慣れです。
問題集に出てくる抜粋文は短く、読む負担が少ない反面、教科書の本文になると文章量もページ数もぐっと増えます。
抜粋された短い文ばかりを読んでいても、本来の読書体力はなかなか身につきません。
マラソンと同じで、長文を読むにも「体力」が必要なんです。
だからこそ、少しずつ音に慣れ、文字の流れに慣れ、自分で読める量を増やしていくことが大切だと考えています。
聞くことは話すことにつながる
最近のレッスンで、「スイミー」の音読をRさんにお願いしました。
これまでは日本語特有のイントネーションに少し不安を感じていたRさん。
ところがこの日は、正しいイントネーションで、ゆっくり丁寧に、しかもほぼ間違えずに読みきることができたのです。
さらに驚いたのは、セリフ部分と地の文で声のトーンを変え、気持ちを込めて読もうとしていたこと。
言葉の意味や読解にまだ不安がある中で、音やリズムにしっかりと反応していることが伝わってきました。
読み終わったあとは、つい「すごい!今の読み方、とってもよかったよ」と拍手。
Rさん自身も、少し照れながら嬉しそうに笑ってくれました。
音読は読解力の土台になる
音読は単なる読み練習ではありません。
言葉のリズム、文の構造、感情の流れに気づく第一歩です。
しっかり読めるようになることで、物語の内容もより深く理解できるようになっていきます。
Rさんのように、少しずつ「聞く」「読む」「話す」経験を重ねることで、日本語への感覚が自然と育っていくのを感じています。
海外に住んでいる子どもたちにとって、こうした積み重ねはとても大切。
これからも音読を通して、言葉の世界に触れる楽しさを届けていきたいと思います。
(沢村)