【学習法】手書きは遠回りに見えて、脳の中では近道だった

英語(英検対策)・国語・社会・理科を教えている左雲(さくも)です。小学生低学年から高校生まで、年代を問わず幅広く担当しています。 わたしのブログでは、日々の授業での経験をもとに、勉強の取り組み方や成功事例、時には生徒と話し合った時事問題などについて綴っています。

英単語テストの前に、ある中学生から「打ったほうが速いのに、なんで書かなきゃいけないんですか」と聞かれたことがあります。

もっともな質問です。実際、キーボードのほうが速い。それでも一週間後に頭の中に残っていたのは、なぜか手で書いたほうの単語でした。速さと、残りやすさ。この二つは、どうやら別のものさしで測るもののようです。

キーボードで打つvs手で書く

ノルウェー科学技術大学の研究グループが、2024年1月に学術誌『Frontiers in Psychology』で発表した研究があります。大学生36人に、画面に出てきた単語をデジタルペンで手書きする場合と、キーボードで打つ場合を繰り返してもらい、256個のセンサーを頭にかぶせて脳波を測るという実験です。

結果、手で書いたときだけ、脳のいろいろな領域どうしのつながりが増えていました。

研究チームは、こうしたつながりは記憶をつくったり新しい情報を覚え込んだりするのに欠かせないもので、だから学習に役立つのだと説明しています。

理由についても述べられていて、文字を一画ずつ丁寧に形づくる動きと、そのときに感覚を多く使うことが覚えやすくなるそうです。同じ指で同じキーを叩くだけの動きでは、そこまでの刺激にならないのだといいます。

「速く十回」より「ゆっくり三回」

ただし、この研究者たち自身が、長い文章を書くならキーボードのほうが実用的だとも言っています。何もかも紙に戻せという話ではありません。分けて考えればいいのだと思います。覚えるために書くのか、まとめるために書くのか。書く用途で使う道具を変えると良いのです。

わたしが授業で感じているのは、つづりをよく間違える子ほど「速く十回」書いているということです。

手が先に動いていて、文字の形そのものを見ていない。

そういう子には、間違えた単語だけをゆっくり三回書いてもらいます。回数は減るのに、次の週には残っています。

おわりに

海外にお住まいだと、現地校の課題はタイピングで提出することも多いはずです。

それ自体は少しも困ったことではありません。

ただ、漢字や英単語のように「形ごと覚えたいもの」については、一日に数分でいいので鉛筆を持つ時間を残してあげてください。

遠回りに見えるその数分が、いちばん確かな近道になるでしょう。

優心オンラインでは、海外在住者専門の個別指導塾として、指導経験の豊富な講師陣が、生徒一人ひとりの理解度や興味、学習環境に合わせてきめ細やかなサポートを行なっています。

ただ勉強ができるようになることを目指すのではなく、ひとりひとりのお子さんが楽しんで勉強に取り組み、生きる力を身につけることに重きを置いています。

海外にいながら、日本の学校の学習に合わせて進めることも可能です。 お子さんの学習について何かご不安な点があれば、ぜひ一度当塾にご相談ください。

参考文献

Frontiers「Writing by hand may increase brain connectivity more than typing on a keyboard」(2024年1月26日、EurekAlert! 掲載のプレスリリース)https://www.eurekalert.org/news-releases/1031946

論文:Handwriting but not typewriting leads to widespread brain connectivity: a high-density EEG study with implications for the classroom(Frontiers in Psychology, 2024年1月26日)https://www.frontiersin.org/journals/psychology/articles/10.3389/fpsyg.2023.1219945/full