【国語】「やりたくない」から始まったレッスン【レッスン日記】

今回のレッスン日記の主役は、日本語の勉強に少し苦手意識を持っているSさん。
普段はインターナショナルスクールに通っていて、日本でいうと小学3年生の年齢ですが、国語は1年生レベルから一緒に学習しています。

「やりたくない」と始まったレッスン

その日はレッスンの冒頭から様子が違いました。

「どうしたの?元気ないじゃん」
「やりたくない。日本語きらい。」

先生としては、正直少しグサッとくる言葉です。でも、勇気を出して言ってくれたんだと思いました。
理由を聞いてみると、「宿題ができなかった」とのこと。

「ちゃんと教えてくれてありがとう。じゃあ、まずはマッキーノ(漢字ビンゴ)やろうか!」

と声をかけると、しぶしぶながらスタートしてくれました。

とりあえず、やってみよう

わたしはこういった場面では、“とりあえず一緒にやってみる”ことを大切にしています。
もちろん、気持ちが落ちているときは雑談やゲームで切り替えることもありますが、今回は原因が「宿題」だったので、手を動かしてもらうことにしました。

すると案の定、「やった!リーチ!」「んーこの漢字わかんない!」と、いつものSさんの声が戻ってきました。
知らない漢字も素直に伝えてくれて、表情もだんだんほぐれてきました。

そしてマッキーノが終わり、教科書の学習に入ったとき、もうひとつの出来事が起きました。

ノートが「ない」…本当は?

この日は、前回に引き続き、絵を見て感じたことを文章にする単元。
前回途中まで書いたノートの続きのはずだったのですが…

「なんにも書いてない」
「ノートがない」

そう答えたSさん。でも、画面の向こうでチラリとノートを見せたのをわたしは見逃しませんでした。
一瞬、どう対応するか迷いましたが、こう伝えました。

「Sさん、先生との約束。“うそはつかない”。先生、ちょっと悲しかったな」

するとSさんは真剣な顔でわたしの話を聞き、こう言ってくれました。

「だって、文章考えるのがいやなんだもん。書くのはいいけど、考えるのがいや。」

Sさんはただ「やりたくない」のではなく、自分の気持ちをちゃんと伝えることができたんです。

「じゃあ、前回考えた部分を文章にしていこう?」
「それならOK」

少し妥協しながらも、お互いに納得できる形で授業を進めることができました。

楽しいだけが「いい授業」じゃない

子どもが「いやだ」と言ったとき、全部をOKにするのは簡単です。
でも、目標があって学習している以上、ほんの少しでも“やってみる”経験を積んでほしいと思っています。

そして、信頼関係のためにも、伝えるべきことは伝える。
「この先生には通じないこともある」と子どもが感じることも、大切な学びだと考えています。

最後はいつもの笑顔で

最終的に、Sさんはしっかり文章を書き上げ、「しっかり書けたね!すごいよ!」と全力で褒めました。

終わりの雑談では、何気ない話で笑顔を見せてレッスンは終わりました。

いつか「楽しかった」「できた」が感じられるレッスンを目指して、私もいろいろと考えさせられた日でした。

(沢村)