【コラム】語彙力が学力のカギを握る理由

今回は「語彙力と学力の関係」についてお話ししたいと思います。
国語の力を伸ばしたい、読解をもっとできるようにしたい——そう思っているご家庭は多いですが、実は語彙力は国語だけでなく、算数・理科・社会など他の教科にも深く関わっているんです。

語彙力があると、理解のスピードが変わる

語彙力があるということは、文章や説明の中で出てくる言葉の意味をすぐに理解できるということ。
例えば「〜の割合を求めなさい」「〜の特徴を説明しなさい」という指示文。これらの語彙をしっかり理解していないと、何を問われているのかが分からず、内容以前につまずいてしまいます。

国語の文章題であればもちろん、算数や理科の文章問題でも同じことが起こります。
「~の変化のようすを表にまとめましょう」「観察からわかることを記録しましょう」といった言葉が分かる・分からないで、理解のスピードも正答率も大きく変わるのです。

海外在住の子どもたちは、語彙に“差”が出やすい

海外で生活していると、日本語よりも現地の言葉に触れる時間のほうが圧倒的に多くなります。
特に現地校やインターなどに通っていると、家庭では日本語を話していても、「学校生活」や「遊びの会話」で使うのは英語をはじめとした日本語以外の言語。
そのため、日常会話はできても、学習語彙が身につきにくいという傾向があります。

特に抽象的な言葉(例:「比較する」「要約する」「理由づける」など)は、家庭で意識的に使わないと自然には身につきません。
語彙力が不足していると、読解や作文だけでなく、算数・理科の文章題の理解にも影響が出てしまうのです。

家庭でできる語彙力アップの工夫

では、どうすれば家庭で語彙を増やせるのでしょうか。
おすすめは「言葉を話題にして会話を広げること」です。
たとえばニュースや絵本、日常の出来事の中で出てきた言葉について、
「それってどういう意味かな?」「似た言葉にはどんなのがある?」と一緒に考えるだけでも効果的。

また、週に1回でも「言葉ノート」をつくるのもおすすめです。
印象に残った言葉や新しく知った語彙を書き留めて、例文をつくってみると記憶に定着しやすくなります。
この積み重ねが、やがて文章を読む力・考える力・説明する力につながっていきます。

語彙力は、すべての学びの出発点。
海外で暮らす子どもたちにとってこそ、家庭でのちょっとした言葉のやりとりが大きな力になります。
「言葉を増やす=考える力を育てる」——そんな意識で、ぜひ毎日の会話から語彙を育ててみてくださいね😊

(沢村)