【コラム】“経験”が言葉を育てる
以前、「語彙力をどう増やせばいいですか?」という質問をよくいただきました。
もちろん、語彙ドリルや読書も大切。けれど、それだけでは言葉は“生きた力”になりません。
私がレッスンで強く感じるのは、「経験がある子は、言葉を持っている」ということです。
体験があると、言葉が具体的になる
一時帰国や旅行に行ってきた子には、レッスンの時に「どうだった?」と聞いています。
「うん、楽しかったよ」や「おいしかった」「きれいだった」などの言葉で止まる子もいれば、
「〇〇に行ったんだけどね、~を体験できてすごく楽しかった!」と伝えてくれる子もいます。
私が質問することをツッコミと言っていますが、
前者のような感想を教えてくれる子には様々なツッコミを必ずします。
「何が楽しかったの?」
「どんな気持ちだったの?」などなど
反対に後者のように、自分の目で見て、心が動いた経験があると、
言葉はぐっと具体的で、生き生きとしたものになります。
これは、国語だけでなく算数や理科の説明にも影響します。
「なぜそうなるのか」を自分の言葉で説明できる子は、
“経験に裏づけられた理解”をしていることが多いのです。
海外在住の子どもたちだからこそ持っている強み
海外で育つ子どもたちは、言語環境の違いや文化の多様性の中で暮らしています。
一見、日本語に触れる機会が少ない分、ハンデのように思われがちですが、
実はそれが大きな強みでもあります。
例えば、現地の食文化や学校行事、友だちとのやり取り。
日本の子が知らない言葉や感覚をたくさん持っているのです。
そうした体験を“日本語でどう表すか”を考える時間こそが、
語彙力を育て、表現の幅を広げてくれます。
「経験と言葉」をつなげるレッスンを
以前の投稿で少し伝えたように、私自身もまだまだ知らないことはあります。
それは勉強だけでなく、海外で過ごす日常生活からも普通だと思っていたことが普通ではない気づきを教えてくれることだってあります。
私のレッスンでは、教材の内容だけでなく、
子どもたちの「この前ね、こんなことがあって…!」という話を大切にしています。
たとえ雑談のようでも、それは学びの種。
「それってどういうこと?」「どんな気持ちだった?」と
会話を広げながら、“言葉で伝える力”を少しずつ磨いていきます。
旅でも、日常でも、経験が増えれば言葉も増える。
その積み重ねが、子どもたちの表現力や考える力を育てていくのだと感じています🌱
(沢村)