【コラム】帰国後に困りやすいのは、実は「作文」です
海外で生活している保護者の方とお話していると、
「漢字が心配です」
「日本の授業についていけるでしょうか」
という声をよく聞きます。
もちろん、漢字や計算も大切です。
ただ、実際に帰国後に困りやすいもののひとつが、実は「作文」や“自分の考えを書く力”だったりします。
「話せる」と「書ける」は別の力
海外在住の子どもたちは、日本語で会話ができる子も多いです。
日常会話なら問題なく話せる。
アニメや動画も理解できる。
でも、いざ作文になると、
「何を書けばいいかわからない」
「文章が短くなる」
「理由を書けない」
ということがよくあります。
これは、日本語能力が低いというより、
“書く経験”が足りないことが大きいんです。
会話では、その場の流れや表情で伝わることもあります。
でも作文は、
自分の考えを順番に整理して、
相手にわかるように言葉で説明しなければいけません。
実はこれ、かなり高度な力なんですよね。
日本の学校は「説明する場面」が多い
特に日本の授業では、
「どうしてそう思った?」
「理由を書きましょう」
「自分の考えをまとめましょう」
という場面がとても多いです。
読解問題でも、
ただ答えを選ぶだけではなく、
“なぜその答えになるのか”
まで書くことを求められます。
海外の学校では、
選択式や短い回答が中心のことも多いため、
「考えていることはあるけれど、日本語で長く説明するのが難しい」
という子は少なくありません。
作文は、急には伸びない
そして作文の難しいところは、
短期間では伸びにくいことです。
漢字なら覚えれば点数につながります。
でも作文は、
・言葉を知っている
・経験がある
・考えを整理できる
・文章を組み立てられる
こういった力が少しずつ積み重なって伸びていきます。
だからこそ、
「帰国直前にまとめて対策しよう」
と思っても、なかなか難しい部分があります。
大切なのは、“日本語で考える時間”
では、特別な教材が必要なのかというと、必ずしもそうではありません。
大切なのは、
“日本語で考える時間”を増やすことです。
たとえば、
「今日どうだった?」
「なんでそう思ったの?」
「どっちがよかった?」
そんな会話だけでも、
実は“作文の土台”になっています。
自分の考えを言葉にする練習は、
日常の中にもたくさんあるんですよね。
「正しく書く」より、「書いてみる」
作文というと、
「きれいに書かなきゃ」
「間違えないように」
と思いがちです。
でも最初は、
完璧でなくても大丈夫です。
短くてもいい。
言葉が少し変でもいい。
まずは、
「自分の考えを日本語で外に出す」
ことが大切だと思っています。
海外生活の中では、
どうしても日本語を書く機会は減っていきます。
だからこそ、
少しずつでも、
日本語で考え、
日本語で説明し、
日本語で書く時間を作っていく。
それが、帰国後の大きな力につながっていくのだと思います。
(沢村)