【コラム】家庭学習時間の確保より先に見直したい習慣
英語(英検対策)・国語・社会・理科を教えている左雲(さくも)です。小学生低学年から高校生まで、年代を問わず幅広く担当しています。 わたしのブログでは、日々の授業での経験をもとに、勉強の取り組み方や成功事例、時には生徒と話し合った時事問題などについて綴っています。
新学期が近づくこの時期、保護者の方からいちばん多くいただくのが「もう少し勉強時間を増やさせたほうがいいでしょうか」というご相談です。
気持ちはよくわかります。ただ、勉強時間を増やす前に確かめておきたいことがあります。
「その分、寝ていないから」では説明できなかった
東北大学と仙台市教育委員会が共同で進める「学習意欲の科学的研究に関するプロジェクト」は、仙台市立小中学校の約7万人を対象に、標準学力検査の成績と生活習慣の関係を調べ続けています。
2015年3月に発表された平成26年度の調査結果が、なかなか衝撃的でした。古い調査ですが、ショート動画系のSNSが普及した今でも説得力を持つ調査であると考えられます。
平日に無料通信アプリを使用すると、その使用時間に応じて学力が低下する。しかもその低下は、平日の睡眠時間や家庭学習時間には関わらず、アプリを使ったこと自体による直接の効果である可能性が高い——そう報告されているのです。
ふつうなら「使いすぎた分だけ寝ていない」「その分だけ勉強していない」からだと考えます。
ところがこの調査では、睡眠時間と家庭学習時間を考慮してもなお関係が残った。「勉強時間さえ確保すれば相殺できる」とは言い切れないのです。
「2時間やった」の中身を聞いてみる
研究の主張とは別に、わたしが授業で感じていることも書いておきます。
「昨日は2時間勉強した」という生徒に「その2時間、何回くらい手が止まった?」と聞くと、たいてい本人が笑い出します。
机の端に置いた画面が光るたびに顔を上げ、返信したり、ついでにリール動画を見てしまって、気づいた頃にまた問題に戻る。
戻ったときには、さっき考えていた式のどこにいたかを思い出すところからやり直しです。
これは意志の弱さの話ではありません。中断からの復帰にコストがかかるのは大人も同じです。
「勉強時間」という数え方そのものが実態を映していないことがある、と考えたほうが現実的です。
スマホの置き場所を決める
では家庭で何ができるか。わたしがお勧めしているのは、没収でも制限時間の宣告でもなく、置き場所を先に決めてしまうことです。
一日の合計使用時間を管理しようとすると、監視と言い訳の応酬になりがちです。
そうではなく、「勉強を始める前に、リビングの決まった場所に置く」とだけ決める。
対象は一日ではなく、勉強している数十分間だけです。
このルールは、勉強する本人が決めると良いでしょう。
「何分間なら置いておける?」と聞いて出てきた数字のほうが、親が決めた数字よりはるかに守られます。
おわりに
最近では、スマホは連絡ツールとしてだけでなく、SNSを見る媒体として使う時間が長くなっています。
スキマ時間にふと見てしまって気づいたら30分経っているということは少なくないでしょう。生活習慣の一部になっています。
だからこそ、使う・使わないではなく、メリハリをつけるために、物理的に遠ざけることがより重要になってきます。勉強時間を増やす話の前に、まず環境を整えてみる。それだけで、同じ勉強時間の中身はずいぶん変わります。
優心オンラインでは、海外在住者専門の個別指導塾として、指導経験の豊富な講師陣が、生徒一人ひとりの理解度や興味、学習環境に合わせてきめ細やかなサポートを行なっています。
ただ勉強ができるようになることを目指すのではなく、ひとりひとりのお子さんが楽しんで勉強に取り組み、生きる力を身につけることに重きを置いています。
海外にいながら、日本の学校の学習に合わせて進めることも可能です。 お子さんの学習について何かご不安な点があれば、ぜひ一度当塾にご相談ください。
参考文献
東北大学 プレスリリース(2015年3月19日)「スマホで無料通信アプリを使用すると学力が低下することを明らかにしました」(学習意欲の科学的研究に関するプロジェクト/仙台市教育委員会・東北大学) https://www.tohoku.ac.jp/japanese/2015/03/award20150319-01.html