【コラム】夏休みの宿題を、AIに「やらせる」か「聞く」か

英語(英検対策)・国語・社会・理科を教えている左雲(さくも)です。小学生低学年から高校生まで、年代を問わず幅広く担当しています。 わたしのブログでは、日々の授業での経験をもとに、勉強の取り組み方や成功事例、時には生徒と話し合った時事問題などについて綴っています。

先日、中学生の生徒さんから「先生、宿題ってAIに聞いてもいいんですか」と真顔で尋ねられました。後ろめたさがあるから確認してきたのかな、と最初は思ったのですが、話してみるとそうではありませんでした。その子は本当に、どこまでが「あり」でどこからが「なし」なのかが分からなくて困っていたのです。

中学生の半数以上が、宿題や課題にAIを使っている

これはもう、一部のお子さんに限った話ではありません。

NTTドコモ モバイル社会研究所が2025年11月に全国の小中学生1,200人とその保護者に行った調査では、中学生の生成AI利用率は4割を超え、前年の約3倍になりました。用途は「調べもの」が7割超で、中学生では「宿題や課題」も半数を超えています。しかも中学生では、お子さんの利用率が保護者を上回っていました。

つまり、わたしたち大人が「使わせるかどうか」を話し合っている間に、当のお子さんたちはすでに使い始めている、ということになります。

国のガイドラインは、どこに線を引いているか

では、どこまでが良くて、どこからがまずいのか。文部科学省が2024年12月に改訂した「初等中等教育段階における生成AIの利活用に関するガイドライン(Ver.2.0)」に、そのヒントがあります。

不適切な例として挙げられているのは、たとえば「各種コンクールの作品やレポート・小論文等について、生成AIによる生成物をほぼそのまま自己の成果物として応募・提出する」こと。一方、利活用が考えられる例には、自分で作った文章をAIに直させたものを「たたき台」として何度も自分で推敲すること、グループで一度議論したうえで足りない視点を見つけるために使うこと、などが並びます。

並べてみると、境目ははっきりしています。先にAIに作らせるか、先に自分が作るかです。中身がゼロの状態でAIに完成品を出させるのが「やらせる」。下手でもいったん自分で書いてみて、足りないところを尋ねるのが「聞く」。同じ画面を開いていても、この二つはまったく別の行為です。

上手な文章ほど、確かめる気持ちが働かない

もうひとつ、、AI活用を考える上で伝えておきたいことがあります。

同じガイドラインは、注意すべき人間側のくせとして「流暢性バイアス」——なめらかな出力を見ると正しいと感じてしまう傾向——を挙げています。

AIの文章は、とにかく上手なのです。上手だからこそ、内容を確かめようという気持ちが働きにくくなります。

だから「調べもの」に使うときこそ、教科書や資料で裏を取る一手間を省かないでほしいのです。この一手間を面倒がらないお子さんは、AIがあってもなくても伸びていきます。

おわりに

夏休みは、この線引きを練習するのにちょうどいい時期です。日々の課題に追われず、失敗しても取り返しがつくからです。海外にお住まいのご家庭では、日本語で相談できる相手が身近に少なく、お子さんが一人でAIと向き合う時間が長くなりがちかもしれません。だからこそ、「答えを写したの?」と問いただすより、「AIに何て聞いたの?」と聞いてみてください。聞き方には、そのお子さんが何を考えていたのかが表れます。

優心オンラインでは、海外在住者専門の個別指導塾として、指導経験の豊富な講師陣が、生徒一人ひとりの理解度や興味、学習環境に合わせてきめ細やかなサポートを行なっています。 ただ勉強ができるようになることを目指すのではなく、ひとりひとりのお子さんが楽しんで勉強に取り組み、生きる力を身につけることに重きを置いています。 海外にいながら、日本の学校の学習に合わせて進めることも可能です。 お子さんの学習について何かご不安な点があれば、ぜひ一度当塾にご相談ください。


参考文献