「正解」よりも「過程」が大事
授業をしていると、子どもたちがよく口にする言葉があります。
それは「合ってた!」「間違えた!」という言葉。
もちろん、問題の正解・不正解は大事です。
でも私はいつもこう声をかけています。
「どうやってそうなったのか教えてくれる?」
私はよくツッコミと言っているのですが、「正解だったかどうか」よりも、どう考えたかにこそ学びの本質があると思っているからです。
たとえば、こんな場面
ある国語の授業でのこと。
文章問題を読んで、「たぶん、〇〇だと思う」と答えた子がいました。
正解ではありませんでしたが、理由を聞いてみると、
「~って書いてあったから、それと関係あると思った」
と、自分なりの根拠を持っていました。
「なるほど!ちゃんとそうやって考えたんだね」と伝えると、
自信のない様子が少し誇らしげな表情に
このように「なぜそう思ったのか?」を言語化することは、ただ答えを出す以上に、深い思考力や表現力を育てます。国語など教科の学習だけでなく、大人になっても必要な力です。
「正解=ゴール」じゃない
子どもたちはどうしても、正解=すごい/不正解=ダメと思いがちです。
でも本当は、正解すること自体よりも、「そこに行きつくまでにどんな道を通ったか?」の方が大切。
公式を暗記してパッと正解を出すよりも、
自分の頭で順を追って考えた結果なら、たとえ間違っていても◎です。
その思考の筋道を一緒に確認することで、「そうか、ここを間違えたんだ」と納得できる。
この積み重ねが「本当に使える力」になります。
例えば、以前の記事で紹介したRさんの算数ではまさにそのやり取りをしました。
「どうしてそう思ったの?」が魔法の言葉
ぜひご家庭でも、お子さんが問題を解いたときに「なんでその答えにしたの?」と聞いてみてください。
すぐに説明できなくて「なんとなく」など曖昧な答えが出たり、答えられないこともあったりするかもしれませんが、 問いかけを続けるうちに、少しずつ「考えを言葉にする力」が育っていきます。
これは、自分の意見を伝える・相手の考えを聞くといった、これからの時代に欠かせないコミュニケーション力にもつながっていきます。
正解よりも、考えた過程に拍手を
答えが合っていても、よく聞くと偶然だったり、 誰かのマネだったりすることもあります。
逆に、間違っていても深い考察があったり、惜しいところまで自力でたどり着いていることも。
私も子供の時は「なぜ」「どうして」などの疑問に答えることがとても苦手でした。しかし、仕事をするようになるとその根拠があってこそ最善策を考えることができるのだと気づかされました。
だからこそ、子どもが自分で考えたことに注目するようにしています。
「よく考えたね」「なるほど、そんな考え方もあるね」と声をかけるだけで、 子どもは「考えることって面白い」と思えるようになります。
私たち大人が、正解だけじゃなく「考える姿勢」を評価することで、子どもたちは安心して学び、ぐんと伸びていきます。
ぜひ今日から、「どう考えた?」の一言、使ってみてくださいね。
(沢村)